今、日本では、二つの大きな社会問題が起きています。一つは、少子高齢化による田舎の過疎化が進展し、都市と地方の経済格差が広がっていることです。もう一つは、経済に編重したことからくる心の喪失であり、教育の乱れです。
これまで日本は、「経済の発展=国民の幸せ」と考え、お金編重の考えが浸透してきました。そしてその考えは、依然として根底にあり、日本政府はこれまで借金を重ねながらも経済成長を求めてきました。しかしながら、現実的には、この25年、経済は低迷し、格差の時代となり、心の喪失と地方の衰退を招いております。
日本大正村のある恵那市明智町でも、経済の衰退と同時に少子高齢化が進み、子供が少なくなる中、高校を卒業した子供たちの町離れも進み、より一層、過疎化現象が進んで、将来への展望をなくしています。
そのような中で、昨年から、明智中学校と恵那南高校の生徒の手によって、町の衰退を止め、郷土愛を育む「明智町・日本大正村」活性化運動が始まりました。(新聞記事参照)
顧みますに、日本を美しくする会の発足は、この日本大正村でした。その当時から、日本大正村には、これと言った観光施設があるわけでもなく、既存の大正時代の施設の一部を使っての「おもてなし」に重きをおいたものでした。その為、大正村の運営は、村人による無償ボランティアで行われ、大正村に来られた方々に心の安らぎを提供していくことを重点に、運営されてきました。
この考えに賛同された鍵山秀三郎相談役が、掃除に学ぶ会を開催するには、大正村が一番適したところである、との思いで、この地を選ばれました。そして、トイレ掃除は、ただトイレを綺麗にするだけではなく、今あるものを大切にして活かし合っていくことの中で、正しく生きる知恵を学んでほしいとの思いがあり、「掃除に学ぶ会」となったのです。
この考えは、日本大正村も同様で、他の観光地のように立派な施設を競い合うことではなく、今ある施設や村を村民の手で日々清掃し、来られた人たちを温かく迎え入れ、安らぎを持って帰っていただける村民運動としたいとの思いがありました。
今回、過疎化が進む日本大正村で、学校と地域が一体となって掃除に学ぶ会を主管し、多くの人たちを迎え入れ、共に喜びを共有できる大会にしようとの思いで、「第24回大正村掃除に学ぶ会(2016年10月22日)」が開催されます。
このような村民一体となっての活動は、画期的なことであり、郷土愛を育むと同時に、健全な精神風土を作り上げるものとなり、他の市町村の見本となるものと思っております。
ぜひ、一人でも多くの人たちに来ていだたき、応援をしていただきたく思っております。