どんな人にも、長所と欠点があります。またどんな会社にも、よいところと悪いところがあります。
例えば、夫婦のことを考えてみましょう。結婚する前の恋愛期間は、寝ても覚めても相手のことを考え、相手の素晴らしいところばかりが目に付いて、世の中にこんなに素晴らしい相手は他にはいない、と思うほどに入れ込みます。アバタもエクボとはよく言ったものです。しかし、結婚して現実の生活が始まりますと、何かと相手の欠点が気になりだし、気まずい関係になったり、ちょっとしたことで喧嘩するようにもなったりします。何も変わってはいない相手なのに、見方が変ったことで、人間関係がよくも悪くもなるものです。
会社も同じで、入社するまでは、素晴らしい会社に見えていても、入社してみたら、こんなはずでなかったとガックリすることもあります。それは、自分に都合のいいように見ていて、お客様気取りだったのが、社員として当事者となった途端、その厳しさに耐えられなくなったりするためです。よい会社ほど、難しい困難な問題を抱え、その解決に並大抵ではない努力をしているからこそ、他社が真似の出来ないレベルを維持しているものです。
自分を変えずして、相手が自分の都合のよいように変わってくれることを望んでいるとしたら、永遠によくなることはありません。
まして、相手の欠点を指摘して相手を変えようとしたら、人間関係は悪くなり、信頼関係もなくなってしまいます。叱られたりけなされて、やる気を起こす人など誰もいません。
人も会社も、どんなものにも20%よいところがあれば、20%欠点があるものです。後の60%は、どちらつかずです。大切なのは、欠点ばかりを探すのではなく、相手の長所に光を当てて相手を認め、一歩一歩長所を膨らませていくことだと思います。そうしたら、60%がよいほうへなびいて、こころが安らぐものです。
家庭では、夫は妻を、妻は夫をほめましょう。親は子を、子は親をほめましょう。
会社では、上司は部下をほめ、部下は上司をほめましょう。社長は社員を信頼し、成長を願いましょう。
こころのネガネを使って、長所から見ることで、見える世界がより素晴らしいものになっていきます。そこに、本当の幸せと希望があるように思います。