普段、めったにテレビを見ない私ですが、今年に限っては、NHKの大河ドラマ「軍師 官兵衛」を楽しみに見ております。
NHKの大河ドラマは、その時の世相を反映していると言われますが、正に今年の「軍師 官兵衛」は、今、世の中が求めているリーダー像ではないでしょうか。
官兵衛は、元々、播磨国の小寺家の家臣として、若くして家老職となりました。しかし、主君小寺政職の統治能力に問題があり、場当たりな言動に翻弄され、最後は、主君に裏切られます。一方、毛利方に付いた小寺政職一族は崩壊していきます。その後、官兵衛は、秀吉の軍師として、秀吉の天下とりに手腕を発揮していくのです。
今回のドラマの面白さは、組織のトップではなくとも、補佐役として、時代を動かす官兵衛の生き方にあります。官兵衛の時代を見る目、適切な戦略提言、戦略に向けての実行力、情愛の深さ、その下に付いた黒田家臣の結束力等々、正に、今の経営とって参考になることばかりです。
経営は、「正しい戦略を正しくやりきること」「合理的な戦略だけでは意味がない。正しく実行することが重要。」と言われています。
混沌とした時だからこそ、時代の流れを見てとり、自社の立ち位置を定め、戦略を明確にし、全社一体となって目標達成に邁進していく軍師(真の幹部)官兵衛が注目されるのです。
官兵衛の対極にあったのが、主君、小寺政職でした。時代の流れを見ることなく、保身に走った結果が悲劇を生みました。私達は、他人のこととなるとよく分かるものですが、自分の事となると、正しいと思っていても反対方向へ歩んでいることが多いものです。
明治維新の立役者の一人、高杉晋作の詩に「西に行く人を慕いつつ 東へ行く 我が心をば、神ぞ知るらむ」とあります。
目先の欲得や保身に流されることなく、今の経営を見直す為にも、「軍師 官兵衛」は、いい機会だと思っております。