東海神栄電子工業では、会社の質的向上の為、不良率、不良金額減少を掲げて取り組んできましたが、ここ数年、目標達成ができない状態が続いていました。しかし、やっと昨年末から、不良の低下傾向が表れてきました。
特に、プリント配線基板の製造工程は25工程もあり、まして、工場も三ヶ所に分かれているため、工場間での移動は勿論、少しの気のゆるみでも不良が発生する恐れがあり、気を抜けない仕事でもあります。しかしながら、このように小ロットで手間がかかり、高品質を要求される仕事こそ、日本に残る仕事であり、将来への展望が大きく開けていきます。
そこで今回は、この1月に画期的に不良を減らしたソルダーレジスト部署を紹介いたします。
ソルダーレジスト部署では、プリント基板上に半田を付けない所をインクでカバーする工程を担当しており、異物混入防止、インクのムラ防止、露光位置合わせ精度が品質を維持するための重要なポイン トとなります。
過去、この部署は、多額の不良を発生させていました。4年前は月102万円、3年前 は月73万円、近年は月25万円と減少していく中で、今年1月には、とうとう月9万 円を切る所まで到達することができました。
ソルダーレジスト部署の浅野リーダーは、まず、一番問題があると思われた機械装置を 長時間観察し続け、異常箇所を見つけ、正常に戻しました。以降、保守点検を兼ねた清掃活動により、常に正常な状態で仕事を続けられるようにしまし た。
次に、問題の大きかったインクのムラ不良の対策です。各作業者が部署での作業が長くなるにつれ、イ ンク調合方法にばらつきが発生してきていたため、専門業者から改めて正 しい調合・管理方法の指導を受けました。以降、そのマニュアルに沿って行うことで、 インクのバラツキもなくなり、格段に品質が向上しました。
浅野リーダーが行った事
1) 職場のみんなで気づいた問題点を出し合い、問題を絞り込んだ
2) 問題点をよく観察して対策を講じ、本来の姿を取り戻した
3) 掃除を通じて、設備の正常稼働状態を保つように保全管理を始めた
4) よかれと思って自分勝手に作業するのではなく、本来の作業基準に基づいて作業を行った(作業基準は、専門業者の指導を受け、明文化して全員が厳守するようにした)
次に、品質が安定し、不良が減ったことで起きた事
1) 効率がよくなり、一日の生産量が向上し、納期遅延がなくなった
2) インクが節約出来るようになった(月7~10万円の削減)
3) 塗布不良の剥離直しが激減し、数年前は2日に1回の液替えが、週1回と なった(人件費・液代削減)
4) 後工程へ迷惑をかけることが少なくなってきた(まだ、完全ではないが)
5) 残業が減り、コミュニケーションがよくなり、職場に余裕ができてきた
今回の事が全社で起こったならば、どんな会社になるのか
1) 一人当たりの生産性が向上し、効率よく少人数で仕事ができるようになる
2) 効率よく仕事が流れるようになり、納期遅延もなくなり、お客様からの信頼 が高まる
3) 在庫を余分に持つことがなくなり、資金効率もよくなる
4) 職場に余裕が生まれ、新しい仕事、高技術への挑戦意欲が生まれる
5) 利益体質となり、処遇改善が進められる