世界中に広まった不況は、未だ底が見えない状況であり、各国ともに膨大な資金を市場に投入し、経済の立て直しに入っているものの、展望すらみえていません。
そのような中、派遣切りから、いよいよ正社員へのリストラが始まり、ますます厳しい様相を呈してきました、そして、多くの企業は、人件費をコストと考え、そのコストをいかに効率よく安く使うか、また、人件費を変動費化させることを考え、派遣、請負制度を活用してきました。しかしその結果、多くの問題が生じてきています。
コスト削減として派遣切りが行われたことで、派遣社員の多くが職を失い、住居を失い、孤独の中、健康を害する人達が続出しています。これは、正社員と区別され、単純労働に従事するしかなく、不定期労働となった上に、アンバランスな食事をとってきたことが、大きな原因ではないでしょうか。そして、ますます難しい仕事への挑戦意欲を失い、人間関係が下手になり、次の仕事にありつけなくなっています。
勿論、会社側ばかりに問題があるのではなく、派遣社員側にも問題がないとはいえません。それぞれ事情や環境も異なることから、一概には言えませんが、拘束されることを嫌い、手軽な仕事を求め、お金目的で働いてきた、ということにも問題があります。
しかしこのことは、同時に企業の体質をも悪くしてしまいました。あまりに社員をコストの一部としてしまったため、本来人間が持つ「モチベーション」を落とし、共に働く喜び、創造する喜び、人に喜んでもらう喜びを奪ってしまったのです。
本来企業というものは、共に働く社員の人達が、仕事を通じて、人間的魅力と仕事能力を高め、絆を深め、働く喜びを感じながら、社会に貢献することではないでしょうか。
経営において、第一に、人を「労働コスト」と考えるのか、それとも「可能性ある財産」と考えるのか、これによって大きな違いがでてきます。その意味でも、現在の逆境を最大の教育の場と考え、互いに苦労を分かち合いながら、みんなの叡智で乗り越えたいと思っています。