10月16日、元ヤオハングループの代表和田一夫氏と貴美子奥様を招いての講演会を開催し、その担当としてご一緒させていただきました。
ヤオハングループは、熱海の小さな青果店から始まり、世界16ヶ国に約450店舗、総従業員2万8千人、売上5000億円もの国際流通グループにまで急成長しましたが、1997年9月18日に崩壊いたしました。
和田一夫代表のお母様は、おしんのモデルともなった和田カツさんであり、和田代表もカツさんの影響を受け、お客様、社員、取引先をとても大切にされていました。特に和田代表は、社員の人間教育に力を入れ、強力な企業理念とリーダーシップにより、社員と同志的つながりの中で、一丸となって海外進出をはかり、拡大成長していきました。
この間ヤオハングループは、熱海の大火災により店舗の大半を喪失したり、ブラジルでの超インフレによる企業整理と大危機にあいながらも、幾度も危機を乗越えてきました。
しかし、本社を香港に移し、和田代表も香港に居を移して中国戦略に奮闘している間に、実弟に任せた日本のヤオハンジャパンで、幹部の驕りが見られるようになり、取引先に大柄な態度をとり、無理な押し付けで安易な利益確保をするようになってしまいました。
また、お客様サービスも低下し、まさに大企業病がはびこり、成長の要だった和田イズムが形骸化していきました。さらに悪いことに、日本のバブル崩壊と合い間って、売上低迷により資金繰りに窮し、粉飾決算により信用をなくし倒産しました。
企業を伸ばしてきた「和田イズムの浸透」をないがしろにした時から、衰退への道が始まっていたようです。誰もそのことに気づくことなく、業績回復に安易な方法で利益確保へ走ったことにより、より体質を悪くし、内部から崩壊したことが最大の原因だったと思います。
苦しい時こそ、企業の原点に返り、安易な利益確保に走ることなく、自社を伸ばしてきた根を大切に、より鍛え、次のチャンスを待つ事の大切さを学びました。