~掃除道に生きる~田中義人ブログ

  • 掃除の力が、益々光り輝く時

    2008年04月01日

    今年は、米国のサブプライムローンの問題から国際的金融不安が始まり、その被害はとどまるところがないほどに広がっております。これは、資本主義社会の末期的症状と言ってよいほどの歴史的問題となり、戦後初めて経験するような社会的混乱が起こるものと予想されます。

    このような中にあって、どのように経営の舵をとっていったらよいのか、多くの書籍を読みましたが、これと言った明確な解決策を見出すことは出来ませんでした。しかしながら私は、19年前のバブル崩壊を経験し、売上は半分となってしまいましたが、その後も、健全に経営を続けてくることが出来ました。この経験には、これからの混乱期を乗り切る智恵があると思っております。

    それは、平成3年11月23日、鍵山秀三郎相談役から聞いた一言から始まりました。「私は、30年間、トイレ掃除を続けております。お陰で、人生も会社もよくなってきました。」 この一言で目が覚めた私は、経営の舵取りを180度転換することができたのです。

    それまでは、利益確保が総てに優先する考えであり、手段を選ばず邁進した結果、利益は実力以上に上げるようになっていました。しかし、会社の体質は低下するという、アンバランスな状況となってしまい、日々不安感にさいなまれていました。

    そこで、鍵山相談役と出逢った翌日から、近所の神社境内の掃除に取り掛かり、自ら掃除の素晴らしさを体得してから、会社へと取り入れて行きました。お陰で、バブル崩壊によって売上が急激に下落していく中でも、会社は筋肉質でバランスのとれた体質となって、現在までくることができました。

    まず、掃除によって考え方が変わりました。掃除を効率よく行うには、(1)今の場を素直に受け入れること。(2)目の前にある道具、条件を活かして使うこと。(3)今いる人たちと最善を尽くし活かし合うこと。この3つにより、設備、職場が本来の美しさや機能を回復します。そして、周囲が美しく整理されてくると、人の心までおだやかになり、人を大切にするようになり、今あるものへの感謝と創意工夫が始まりました。

    このようにして、日々の掃除により、人間関係がよくなって協調性が高まり、職場への愛着がわき、改善が始まって不良が減少し、ローコスト運営となって財務体質が改善されてきたのです。

    これからの大混乱の時にこそ、会社の中で、職制を超えた信頼の持てる人間関係を築きあげ、現状を素直に受け入れ、残された条件、資産を最大限に活かし、共に苦難を分け合える人たちの集団にすることが大事です。そうすれば、どのような危機が到来しても乗り切っていけるものと思っております。

    このような時こそ、金儲けではなく、人儲けのチャンスだと思っております。

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