私たち日本人は、戦後の経済成長と共に物質的生活が豊かになり、当初は豊かさへの感謝と喜びの日々でした。しかし、そのうちそれも当たり前となってしまい、足るを知ること、感謝の心を忘れ、今では、不平不満の目で物事を見る人たちが増えてしました。その結果、
1) 小さなことにもイライラし、少しでも注意されると怒り出すなど、忍耐力の乏しい人たちが増え、さらには自殺(三万二千人)、児童虐待・老人虐待・近親者間の犯罪までもが急増しています。
2) 安易な金銭至上主義が万延し、勤勉・誠実な努力を嫌うようになり、仕事や世の中への不満、否定的な態度が多くなった影響で、青年や子供たちが将来への希望をなくし、ニート(八十万人)やフリーター(四百万人)がこの十年で倍増しました。
3) バブル崩壊後、グローバル経済の到来によって競争が激化。企業の二極化が進み、より効率が求められる社会となりました。負け組の増加、切り捨てられる人たちの経済破綻と精神的疲労(ノイローゼ)が急増しています。
このように、金銭至上主義が先行してしまい、心が満たされない世相となったことで、人間関係が希薄となり、犯罪が多発するようになりました。
幸せは経済の尺度だけで計れません。まして、お金で買うことはできないのです。
なぜ、今、トイレ掃除なのか。
トイレ掃除をすることによって、場が美しくなり、明日からこのトイレ使うであろう子供たちの喜ぶ姿が目に浮かび、心が和んできます。そして、掃除をした人は小さなことにも目がいくようになり、汚さなくなり、人も物も大切にする心が育んできます。このようにトイレ掃除は、「場を美しくし、人に喜ばれ、共に縁を深め、自己を成長させるエネルギー」 を育みます。
つまり、心豊かに生きるとは、「人に喜ばれ 他をも幸せにし 自己も成長できる生き方」だと思います。
それと同時に、汚れに正面から向かうことで、「問題から逃げることなく正面から取組んでこそ心の安らぎが生まれ、問題から逃げていては何も解決することなく、心の安らぎを得られないこと」 を体験を通じて学ぶことができます。
こうして謙虚な心で丁寧な生活を始めますと、よりよき人間関係を形成し、どのような問題が生じても冷静に受け止めることができる 『強い心』 を高めることができるのです。
トイレ掃除は、「よき人間関係づくり」と「強い自分づくり」の学びの場です。