リーマンショックから始まった世界不況は、正に100年に一度と言われるほどの厳しい状況となり、これまでのように、好況、不況を繰り返す景気循環ではなく、業種によっては、優良企業と言われていた企業でも倒産していくような構造的不況となってきました。
構造不況となれば、単に景気の回復を待つのではなく、どのような環境下に置かれても生き続けられる体質変革が必要になります。
これまでも日本人は、多くの苦難と遭遇する中で、その状況を受け入れ、改善改良を繰返し、環境に順応した高い精神文化を育ててきたという歴史があります。
この崇高な日本精神は、農耕民族として培われてきたものであり、「和」の精神として私達のDNAの中に流れているものと思っています。今、その精神を気付かせてくれるのが、鍵山秀三郎相談役が提唱されている「トイレ掃除」ではないでしょうか。
ひどく汚れているトイレであっても、一端手を入れて磨いてみると、その下から新品のような輝きが表れ、その輝きに感動し夢中になります。そして、掃除を終えた後の清々しい雰囲気と、翌日使うであろう人の喜びさえ分かち合うことができます。このように、汚れを拒否したり批評するのではなく、「受け入れる」ところから素晴らしい世界が見えてくるのです。そこに、トイレ掃除のよさがあります。続いてそのポイントを述べてみます。
1. 今を素直に受け入れる。「汚れたトイレでも受け入れる」
今を受け入れることで、問題の本質をつかみ、先が見えてきます。
人間は、生きている以上、常に問題が起こります。そのとき問題から逃げたくなるのが人情ですが、問題から逃げていると益々問題が大きくなっていきます。特に、今回の大不況は、嘆いても誰も助けてくれることはなく、時間と共に問題は深刻化するばかりです。
この構造不況を受け入れることは、会社としての進むべき道を再考し、その方針に基づいて全体を見直すチャンスにもなります。
2. 今ある条件を最高に活かす。「与えられた掃除用具、メンバーで行う」
手元にないものを嘆くのではなく、今あるものを活かすことこそ大切。
毎朝の全員参加の掃除により、環境整備を徹底し、よい状態で仕事に入ることに努めています。又、人の成長を願い、マネジメントゲーム(MG)による財務勉強と挨拶を中心とした人間関係づくり、そして、職場の改善活動を行い、品質の安定化と省力化を積極的に行っています。
3. 社員相互の絆を深め高め合う。「参加した人たちと共に助け合い掃除を行う」
一人たりともリストラをすることなく、すべての社員と共にこの難局に立ち向かうことを決意し、協力要請しました。そして、月々の経営状況をオープンにし、収支バランスの中での経営を徹底し、全社員の協力を得るようにしています。
この不況を体験することで、社員の人たちが大きく成長してくれることを願っています。