本年、長年務めてきました「日本を美しくする会」の会長を、70歳を区切りに退任いたしました。
思い起こせば、バブル崩壊により経営に行き詰り混迷の極にあった平成3年11月23日、鍵山秀三郎相談役との運命的な出逢いから始まりました。その時、「トイレ掃除を30年間続けてきました。お蔭で人生も会社も変わってきました。掃除を通じて世の中から心の荒みをなくしていきたい。」と言われた言葉が、心にストンと落ち、鍵山相談役を師とする決意を致しました。
その翌朝から、近所の市神神社の掃除を始めました。その場所はいつも、駄菓子の袋や空き缶などのゴミで大変汚れていました。そして掃除を始めて半年程経った頃、美しくなった境内に、朝日がスポットライトのように当たり、神聖な風格が醸し出されたことを体験して、掃除により場が生き返る感動を覚えました。
その頃から、そこで遊ぶ子供達もゴミを捨てなくなり、神殿やトイレも建替えが始まり、何年来変化のなかった神社が、本来の神社に生まれ変わっていきました。
この感動を多くの人たちにも伝えたく、平成5年11月7・8日、日本大正村に35名の仲間が集まり、鍵山相談役の指導の下で、第一回掃除に学ぶ会を開催することとなりました。
そして、その一回目に参加した人たちの感動が、多くの人たちへの呼びかけとなり、翌年には2回開催され、延べ400名が参加するほどになりました。それ以降、波紋のように全国各地へと広がり、海外でも、ブラジル、中国、ニューヨーク、台湾、ルーマニア、イタリア、ハンガリーへと広がっていきました。その間、私は鍵山相談役と共に、日本各地へ、そして世界へ行くことができました。
勿論、会社にも、掃除活動を導入することができ、以前とは比較にならないほど、整理整頓された職場にすることができ、経営の危機も脱することができました。そして今では、毎朝、大半の社員の人たちが、早朝清掃をしてから仕事に入るようになり、人間関係もよくなり、トラブルも減ってきました。また、市神神社では、毎週火曜日に、トイレ掃除リーダー研修を継続して開催しています。
一方、海外からの視察団も迎えるようになり、掃除は国境を超えて広がり、会社も地域も良くしていく運動へと動き出しています。その一役を担わせていただけた幸せに感謝しております。
今後に関しては、身近な人たちに掃除の良さを伝え、その人たちへの役立ちを楽しみにしていこうと思っております。