ナカヤマ・グループ会社の中山理研は、今年8月に仙台に営業所を出しました。そこで先月、仙台営業所を訪問した際に、掃除仲間である(株)ホットマンの伊藤信幸社長、(株)ムッシュ太田の太田昌治社長に会ってきました。
中山理研は、仙台市内でシルクスクリーン加工製品と電子実装治具の販売をしている会社と取引していましたが、今回の東日本大震災を機にその会社が倒産し、多大な損害を被りました。また、その会社から製造委託を受けていたため、お客様にも迷惑をお掛けすることとなり、お客様の意向もあって、急遽、その仕事に従事していた4名の社員を雇用して、営業所を出すことになりました。
その会社は、業界では社歴45年の老舗で、常に新しい商品開発をして、商品アイテムを増やしていましたが、ここ数年、売上が半減し、大変苦しい経営を続けていたようです。しかし、会社の状況を社員に知らされることはなく、社員教育もされることはなく、ただひたすら毎日、同じ仕事を繰り返している状況で、社内を見ても汚れが目立っていました。
そして、今回の震災の影響で倒産し、多くの社員たちを路頭に迷わすことになりました。まして、教育もおろそかにされてきたために、社員の方たちは再就職で大変苦労されたと聞いています。
一方、7月のメッセージにも書きましたが、東北を中心にイエローハット73店舗、その他異業種の店舗を含め90店舗を経営されている(株)ホットマンという会社があります。その伊藤信幸社長は、日本を美しくする会の東北ブロック長も兼ね、日頃から掃除活動と社員教育に熱心に取り組んでこられました。
そして、震災で閉鎖された店舗も出る中、営業再開に向け、全社員の力を一つにして頑張ってこられた結果、今では業績を大幅に回復され、新たに5店舗を開設されるそうです。
前回のメッセージにも詳しく書きましたが、被災に遭った店舗が多くあった中でも、一人の犠牲者も出すことなく、再開に尽力されてきました。特に、水没して多大な被害を被った石巻店は、同業他店がやっと8月に再開されたような状況下で、4月8日から営業を再開し、今では昨年比3倍の売上を上げ、お客様の要望に応えて、石巻にもう一店舗だされることになったそうです。
そして、この6月30日の第一、四半期(4~6月)のホットマン全店の売上は、前年比125%の伸びとなり、「日頃の掃除活動と、社員、地域の人たちのお陰です。」と伊藤社長が話されていたことが印象的でした。
もう一人の太田昌治社長は、仙台で仙台国際美容専門学校と(株)ムッシュ太田を7店舗経営され、宮城掃除に学ぶ会の代表世話人でもあります。今回の災害で、太田社長の会社も膨大な被害を受けられ、石巻の美容院5店舗のうち3店舗が水没し、完全に使えなくなりました。当初4月にお会いした時は、その被害の大きさに憔悴しきってみえましたが、「社員は一人も解雇しません。」と言われたことが印象に残っていました。
今回、話をお聞きしたところ、その後、石巻では、同業他社がまだ再開できない中、地域の人たちの為にも、残った2店舗で30名の社員全員が交代で頑張っていられるそうです。
ムッシュ太田も、日頃から社員教育が徹底されていて、技術力も高く、地域清掃や掃除活動にも力を入れてこられたことから、地域の人たちからも大きな支援を受けられていることを強く感じました。
この二社に共通しているのは、常日頃から「掃除と社員教育の徹底」をすることにより、社員の人間力、技術力の向上を計り、地域社会に貢献されてきたことでした。この予想だにもしなかった大震災に遭った時、今まで見えなかった財産が、大きな力を発揮して会社を救うこととなったのだと思います。