~掃除道に生きる~田中義人ブログ

  • 第一回ルーマニア街頭清掃に参加して

    2011年11月01日

    10月9日~16日に、ルーマニアへ行ってきました。この話が来た時には、工場内の設備清掃の指導依頼かと思いましたが、そうではなく、街頭清掃へ指導依頼でした。といいますのは、今回の依頼は、経営コンサルタントのルーマニア改善オフィスのジュリアン・ブラッツ社長からの依頼だったからです。 

    ジュリアン社長は、2004年に日本改善事例視察団の一員として参加され、ナカヤマ・グループの掃除を中心とした経営改革に大変興味を持たれて帰国されました。そして、2008年に再度来日され、再び弊社を訪問された時に、ぜひルーマニアへ来て欲しい、とのメッセージがありました。

    ジュリアン社長は、2004年に帰国後、ルーマニアの顧問先で職場改善するに当たり、徹底して掃除をすることで、職場が見事に蘇ることを実証されていました。そして、改善活動に熱心な会社を中心として、掃除で蘇る企業文化を地域社会へとつなげたいとの思いで、今回の街頭清掃が企画されたのです。

    その背景には、ルーマニアの社会情勢があります。ルーマニアは、1945年の敗戦により、ソビエト連邦軍の下で、一党独裁のルーマニア社会主義共和国が成立しました。しかし、国民を苦しめたチャウシェスク大統領の一党独裁体制は、1989年に崩壊し、民主化の波がルーマニアにも押し寄せ、市場開放が進みました。

    しかし、市場経済の停滞は続き、昨年、財政破綻が起きた際には、IMFから緊急融資として約200億ユーロを受け入れました。また、財政赤字削減のため、公務員給与は25%削減、年金や失業手当も大幅カット、付加価値税(消費税)は24%に引上げられました。平均給与はこの数年上がることはなく、月額平均は4万6千円程です。そして、元々農業国であった為か、ガムシャラに働くような勤労意欲にも乏しく、何ごとも国家や行政に依存する体質でありました。

    このような厳しい経済社会ですが、ルーマニア改善オフィスの顧問先企業は、世情に流されることなく、「掃除への思いや5Sの考え方を、企業文化から社会に広く開かれた文化として根づかせたい。」として、ルーマニア再興のため、企業経営者が中心となり、行政と市民ボランティアにも働きかけ、今回の街頭清掃が開催されたのです。

    今回は、ブラッソブ市(人口30万)、ティミッソアラ市(人口33万)、アルバイウリア市(人口6万7千)の三都市で行いましたが、必ず市長か副市長、幹部職員が参加し、会場として市の大会議室が用意され、掃除用具も揃えられていました。そして、事前の広報も十分されていたのか、延べ300名の参加を得て、どの会場においても大盛況の内に終えることができました。

    最後に、アルバイウリア市のポール副市長が「昔は、お互いに助け合い、いたわり合っていたのに、どうして今は、自分勝手な行動が多く、何事につけても要求ばかりするようになってしまったのか。もう一度、今回の掃除大会のように、お互いに助け合っていく社会にしたい。」と強く訴えられていたことが、深く印象に残っています。

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