6月7日~13日に、ルーマニアのブステン、シビウ、クルジナポカの3都市にて、公共5S実践活動(掃除大会)が開催され参加してきました。ルーマニアでは、今年で六回目の大会です。
事の始まりは、2004年に日本改善事例視察団として弊社に来られたルーマニア改善研究所のジュリアン・ブラッツ所長との出会いにさかのぼります。
ジュリアン所長は、掃除をベースとした職場改善事例の話に大変興味を持たれ、帰国後、顧問先で、掃除を徹底して環境整備をしていくことで改善点が明確なり経営改善が促進できることを確証されました。
そして、2008年に再来日された時に、日本を美しくする会の「掃除を通じて世の中から心の荒みをなくしていきたい」との理念に共感され、「ルーマニア社会に日本の輝きを届けよう」と、ルーマニアでの第一回大会が開催されました。
これまでの大会を見ていて驚くことは、必ず、地元企業は勿論、開催地の市長、幹部職員、教育関係者、生徒、市民ボランティアの人たちが多数参加され、どこも温かく迎えてくれることです。
ブステンでは、村の古城を使い、市長が先頭に立って子供たちの民族舞踊や郷土料理で迎えてくれました。クルジナポカでは、手書きの国旗を振って迎えられ、両国の国歌を歌って開会式が行われ、歓迎の舞踊も行われました。
それには、ジュリアン所長の公共5S活動(日本で言う掃除大会)を通じて、ルーマニア社会をよりよくしていきたいとの思いに共感する企業家の支えと、行政の協力が大きな力となっています。
以前、参加した行政の幹部が「私たちは、何かにつけて要求や批判ばかりすることが多くあるが、それでは何も変わらない。今回、短い時間ではあったが、汚れた公園をみんなで掃除をしたことで、本来の美しい環境を取り戻し、みんなが仲間になれた。このようにお互いに助け合っていける社会づくりを子供たちに伝えていきたい。」と語られ、一緒に行っていきたいとの思いが伝わってきました。
特に今回印象に残ったのは、3年前に、私のプレゼンを聞いて、自分の街でやりたいと立ち上がった婦人のことです。その婦人は、ロッタプリントと言うラベル製造会社を経営しているロッタさんでした。
彼女は仲間に呼びかけ、市長、教育関係者、学校を動かし、2013年に第一回目を開催しました。そして昨年からは、毎月1回学校へ行き、お母さん方や先生を巻き込んで掃除を続ける中、今回は183名もの人たち(行政・先生・生徒・父兄・社員・市民ボランティア)の参加を得て、第三回クルジナポカ大会を開催しました。
しかしながら、市民の理解度はまだまだ低く、クレイジーな人たちと言われているそうで、この間の苦労は並大抵ではなかっだろうと思っております。
こうして、ルーマニアでは、ジュリアン所長を中心にして、着実に掃除の輪が広がってきています。特に、掃除をベースにして経営改善をされてきた企業は、品質も効率も上がり、業績は勿論、社内風土は飛躍的によくなっています。
そして、まだ一部ではありますが、企業の人たちが、社員と協力し合って地域をよくするために公共5S活動(掃除大会)に取組まれていることに敬意を表したいと思います。