昨年の秋からの不況の波は、さすがに健全経営を心がけてきた我が社にも厳しい状況をもたらしております。特に、受注先の多くが、車載・産業機械の制御関連であるため、その落込みは予想以上に大きく、長引いております。
しかしながら、60名の社員と41名のスタッフさん(中国人研修生・パート・アルバイト)誰一人として欠けることなく、全員頑張っています。確かに、一部調整休暇は取り入れ、残業もない場合もありますが、諸手当のカットもせず、極力月々の給与確保に努めております。
以前、鍵山秀三郎相談役から、勝海舟が「氷川清話」の中で、世の中がとてもヒマなのに、ある料亭の前を通ったとき、店員が忙しく働いている様子を見て、なぜそんなに忙しいのかと聞いたとところ、女将が、「ヒマだからこそ、忙しくしているのです」と答え、勝海舟は感動した、と話されたことがありました。
有難いことに、私どもの会社も、土曜日など休日は、研修センターの4階では社内研修「秀観塾」、2階ではMG(マネージメントゲーム・財務の勉強)、現場では改善活動、そして、社外掃除大会の参加へ、と何かと忙しくしています。普段も、早朝掃除は勿論、技術勉強会、改善、修繕活動が頻繁に行われております。
設備投資も、昨年の11月に新工場が完成し、約2億円の投資をしましたが、この6月に5千万、7月に5千万、8月に3千万の設備投資を行います。
確かに、毎月赤字続きではありますが、今のところ、落ち着いて経営の舵取りができています。それは何故なのか、自分でも不思議に思うことがありますが、それにはそれなりの根拠があります。
第一に、1988年に作成した、経営の基軸である「人が成長し会社がよくなる『ピラミックス企業成長理論』」の3段目に、やっと上がることができ、4段目を目指して、今やらねばならないことが明確になっているからだと思います。
第二に、1991年の日本バブル崩壊を切っ掛けに、量的拡大から質的経営に切り替え、「全社掃除活動」を核にして、総ての物を活かしきる経営で、ムリ・ムダを排除し、内部留保を高め、自己資本比率が70%までになりました。そのため、資金余力を持って今を迎えることが出来ました。
第三に、会社の財産は「人」であることに気がつき、「秀観塾」を中心とした社員教育に力を入れてきたことです。社員を信じ、総ての経営情報を公開し、分かち合い、高め合う経営をこころがけてきました。
確かに、先の読めない時代ではありますが、社員の人たちと共に、家族のように団結し、この難局に対処していくならば、必ず道は開かれていくものと確信しております。