先日、ある超有名大企業の営業マンが来社された際に、意外な話を聞いて愕然としました。その大企業は、常に大卒就職希望ランキングの上位を占め、難関中の難関を突破した人のみが入社できる会社です。しかし、希望をいだいて入社したものの、わずか3年の間に、1/3の人たちが退社しているという事実でした。そして、50歳を前に、2/3の人たちが出向となり、60歳の定年まで残れる人は、1割に満たないというのです。
私にとっては信じられないことであり、早速インターネットにて検索したところ、国の調査機関が、3年未満の離職率は、高卒39.6%、大卒32.4%と発表していました。
なぜ、このようなことが起きるのかを、大手企業に勤務している知人に聞いたところ、異口同音に同じような答えが返ってきました。その考え方は、私とは異次元のものでありました。
その大きな要因は、プロ野球ではありませんが、勝ち残った社員のみを残して強い集団にしていくシステムにあるようです。一つのノルマを達成したら、次により高いノルマに挑戦させ、達成した社員のみを残し、より強い社員集団として強固な会社としていく論理です。
そして、ノルマ競争に敗退したものは、静かに会社を去って行くことになり、組織は常に活力ある人材で占められ、拡大してことになります。但し、その前提には、常に新規採用に困らない状態であるということは言うまでもありません。
元来、この考え方は、日本人にはなじまない考え方であったと思いますが、最近では、このように実力主義を重視し、社員間競争原理を導入している企業が増えてきています。
これは私とは真反対の考え方です。私の考え方は、社員間競争ではなく、社員間協力により会社を維持していくことです。それは、縁あって入社してきた社員の人たちを、人間として遇していくことであります。
会社経営の最大目的は、社員を幸せにしていくことであります。その社員の幸せとは、仕事を通じて、人間的魅力と仕事能力を高め、得られた業績を分かち合い、社員の処遇を確保し、働く喜びを感じながら社会に貢献できる会社となることであります。その為にも、社員を成長させるものでなければいけないと思います。
しかしながら、ノルマで責められることなく、特別な管理もされない社風の中で、これからの厳しい競争社会を乗り切っていくことは至難の業でもあります。
今年の秀観塾(社員研修)は、その大切な人件費をいかに維持し、かつ増やしていけるのかを、みんなで知恵を出し合い考えて行く一年としたく思っています。協力、よろしくお願いいたします。