2月5日、NHKでフリーターの現状を取材したドキュメント番組「フリーターの漂流」が放映されました。その映像から時代の変遷を感じ、ナカヤマ・グループの人たちにも見てもらいましたところ、全員大ショックだったようです。
このことは、ある面では、江戸時代から明治に変わった時代変化に匹敵する状況が、1991年のベルリンの壁崩壊以後に起きている社会主義国の崩壊から始まる経済の自由化がもたらした影響が、それまでの日本の優位性を完全に変ってしまったことに似ています。
正に江戸時代の幕藩体制から全国同一市場に変わった明治と同じように、中国を中心にした東南アジア経済圏の出現は、日本の高生産コストを許さなくなりました。まず日本の地場産業、中でも岐阜県の陶磁器、木工、石材、繊維産業の衰退は急激に進んでおります。そのような中で、日本の生産コストと景気変動に対応するために派遣社員、フリーターの採用が急増してきました。
時間給1000円のフリーターは、高校新卒の給与にも達しません。高校新卒の給与から逆算しますと、時間給1400円で同額となります。まして、フリーターは国民年金に加入しない人もいますし、年収があっても親の扶養家族にしている人もいると思いますので、同年輩の正社員よりも手取りが多くなることもあり、若い人の中には、正社員からフリーターに転向する人たちも出ています。一方では、人材派遣会社が、高校新卒を堂々と採用することも始まっています。
フリーターの特権として、(1)本当に好きな仕事に出会う機会がある。(2)責任を持たされたり、いやな事、難しい事や研修も受けなくてもよい。(3)拘束されることが少なく時間を好きなように使える。と思いこんでいるようです。しかし、このことが人生の後半になって、どんな大きな荷物となって帰ってくるのかを考えるとぞっとすることがあります。
実は、5年ほど前に、アメリカの日系自動車工場を見学した時、現場で働いている人たちの平均年収が300万~350万円と聞きました。そして、一方ではヘッドハンティングされてきた幹部の人たちの年収が5000万円以上とのこともあり驚きましたが、日本もいよいよ、現場労働はフリーターの人たちが多くなり年収が300万円時代に入ったと思います。
一方、今、各地での市町村合併が進んでいますので、田舎の中心企業といわれた役場がなくなり、そこに依存していた弁当屋、文具屋、コンピューター関係、土木、建築と広範な会社も同時に仕事をなくし雇用の場を失っていくものと思っております。
そこに団塊の世代の人たちが大量に退職しますので、正に、地方からの不況が始まることと思います。まるで、日本中の銀座通りがシャッター通りとなり、バイパス通りが大手のチェーン店舗に変わっていったように、地方の働く人たちは、地元企業での正社員雇用の場がなくなり、大手の人材派遣社員となったり、フリーターとなって年収を落としていくような時代となってきました。
この時代の流れの中、どのようにして経営をしていったらよいのか、社員の人たちの生活費をどう確保していくのか最大の課題ととらえております。その基本は、私を含め社員の人たちの「人間性の向上」と「仕事能力の向上」をベースにして、どこまでもお客様の要望に応えられる会社に育てていくことだと思います。
そのカギは、「掃除活動」と社内研修「秀観塾」と「基本事項の徹底」にあると思いますので、トップ自ら、先頭に立って憂いのなきよう日々実践いたします。