新型コロナウイルス感染が世界中に広がり、これまで経験をしたことがない事態を迎えていますが、このコロナウイルス禍の後に、日本がこれまで抱えてきた問題が大きくクローズアップされてくるのではないか、と心配しております。
私は1947年生まれで、戦後から今日までの74年間を振り返ってみて思うことは、日本は大変豊かな国になり、平和と安全が確保され、自由に生きられる素晴らしい国になってきましたが、一方では、何か大切なものを失ってきたような気がしています。
戦後、GHQによって、それまで培ってきた日本の伝統的精神文化を骨抜きにするため、教育現場から歴史教育、道徳教育が削られ、非愛国的教育が長く行われ、国を愛する気持ちが薄れ、日本は戦争を仕掛けた悪い国として教え込まれてきました。
その一方で、日本は戦後の焼野原から経済復興を遂げ、高度経済成長が長く続き、国民の生活レベルも向上していったところ、日本人は世界の経済大国としての優越感を持つようになり、より一層、経済至上主義の世の中となってきました。その為に、利己的な自由主義がはびこり「自分だけ、今だけ、お金さえ」の近視眼的人たちが増えました。
家族間の絆も薄れ、ここ数年、過去に見られなかった親族間の凶悪犯罪、児童虐待、そして、その影響を受けた子供達のいじめが年々増加傾向にあり、経済的側面だけでは補えないところまできています。
そして、多くの国民が拠りどころとしてきた経済も、1990年のバブル崩壊と共に低成長の時代に突入していきましたが、これまでの経済一辺倒の考え方を変える事の出来ない政府は、相変らず国家予算を増やし続けてきました。しかし、税収は伸びず、穴埋めに莫大な赤字国債を発行し続け、今では国の借金は一千兆円を超え、何時、財政破綻が起きても不思議でないところまで来ています。
さらに、今回のコロナ禍で膨大な予算を使わざる得なくなり、これまで経験をしたことのない財政赤字と経済の停滞が、今後、国民生活を圧迫して、これまでの「今だけ、自分だけ、お金さえ」の考えでは許されない時代となり、多くの国民が生活に困窮していくものと思われます。
その為にも、私たちはこれまでの経済一辺倒の考え方を見直し、この間に失ってきた大切なこと、を再考する必要があると思っております。
大切なこととは、「社会は、一人では成りたっていない」と言うことを自覚し、昔の日本人が大切にしてきた、家族は勿論、会社、地域社会においても、お互いに相手のことを思い、助け合っていくという考え方、に戻る必要があると思います。
私たち団塊の人たちは、今は仕事からも離れ、余生を生きる年頃となってきましたが、子ども達とも離れ、夫婦二人、又は連れ添いをなくし独り身になっている人たちも多いのではないでしょうか。まして、夫婦がなくなった時に、それまで住んでいた土地、建物は売却され、子ども達に金銭分配され、家系も終わりとなって行く淋しさを感じています。
確かに、団塊の世代には、日本の高度経済成長と共に、年々、処遇もよくなり生活も豊かになって人生を謳歌してきた人も多くいましたが、反面、家族はバラバラになって老後を孤独感に襲われていくことで、本当に、いい人生と言えるのでしょうか。何か大切なものを失ってきた気がしているのは、私一人でしょうか。
今回の新型コロナウイルス禍から、日本は大変厳しい状況に入って行くものと思いますので、今一度、家族関係の連携を計ると同時に、自分自身のスキルアップを計りながら、会社を守って行くことが急務と考えております。