1991年11月23日に、恵那はがき祭りで掃除道の神様と言われる鍵山秀三郎先生と出会い、翌朝から市神神社境内の掃除を始め、32年の歳月が経とうとしています。
そして1993年11月7日に、鍵山先生の指導の下で「第一回大正村掃除に学ぶ会」を35名の仲間と始めたことが、波紋のように、日本を美しくする会として全国各地へ海外へと広がっていきました。
この度、日本を美しくする会設立30周年を記念して、人間学を学ぶ月刊誌「致知」に、「かくて掃除道は始まった」と題して取り上げていただきました。
そこで今回は、32年間を振り返り、特に印象に残ったことを述べてみます。
- 「鍵山秀三郎先生と共に歩めた32年」
多くの人が人生の師として慕う鍵山秀三郎先生ご夫妻と共に、私たち夫婦は、掃除道を日本各地は勿論、海外まで広める活動が出来ました。会社で言えば、鍵山社長の下で小さな会社を全国規模の会社に育て、海外まで進出できた喜びを、夫婦で共有することができました。
- 「見えない資産づくりが心の安定と幸せを作る基礎となる」
物の豊かさにあふれる日本であっても、多くの日本人はお金や物の豊かさが幸せだと思い込み、もっともっとと追い求めて今日まできましたが、心は常に飢餓状態となっています。「財産、家、名誉などの見える資産」と「人柄、人間関係、社風、道徳心などの見えない資産」がありますが、見えない資産の上に見える資産が構築されていることに気が付きました。多くの現代人は見える資産のみを追い求め、バランスを崩して苦悩していると思います。
掃除は、今を受け入れ、そのものが持つ本来の美しさや機能を取り戻し、掃除を通じて無意識の内に周りとのつながりや生かされている喜びを取り戻すことができます。正に掃除は、「見えない資産」の要ともなる業です。
3.「仏心に触れる喜び」を掃除は教えています
小学生、中学生の若い人たちと掃除をしていく中で、子どもたちの感性の素晴らしさに驚くことが多々あります。勿論、大人であっても、ひどい汚れにも手を入れて、一心不乱に取り組んで美しさを取り戻していく時の感動は、心身を夢中にさせます。この喜びは、年齢、経験に関係なく、人間としてもっている素質だと思っております。
私達の日常は、得てして目先の損得に振り回わされ、且つ又、自由にならないことで悩み苦しむことが多くありますが、人間には本来、損得を離れ、相手の喜ぶことで生き甲斐を見出す人間性が備わっています。
特に、汚れた環境を自らの力で美しく生き生きした環境に取り戻した時の満足感は、何事にも代えがたいものです。同時に、掃除の後の清々しい場には、みずみずしいエネルギーが湧き出ていて、自らの心も浄められ、自分の中に宿るもう一人の自分=仏心に触れる喜びを感じられるようになりました。
会長 田中義人