30年以上にわたり、社員教育の一環として「読書感想文発表」を行ってきました。そこで、なぜ、読書感想文発表を大切にしているのかを述べてみます。
私は、我が社の経営理念に「みんなで幸せ」と掲げ、「社員の人たちに幸せになってもらいたい」との思いを持ち、経営に生涯教育を取り入れてきました。その中心となるものが、よき習慣づくりと自発性を身に付けるための社内研修塾「秀観塾」であり、それを補完する活動として「掃除活動」「読書感想文発表」「講演会・研修参加・資格取得推奨」を行ってきました。
読書感想文発表を始めた切っ掛けは、ある学校の先生から、「子どもたちを見ていると、勉強好きになった子どもたちに共通しているのは、本を楽しむ家庭環境です」「家に一冊の本もないような家庭では、子どもは勉強好きにはなりません」と言われたことです。子どもの成長は、親にとって最も大切な願いであります。
そこで私は、子どもたちに勉強好きになってもらうために、まずは親教育をと思い、三か月に一度、推薦本を選んで希望者には無料配布し、感想文を提出した人には手当を付け、優れた感想文には粗品を提供し、朝礼等で発表してもらうことにしました。
その甲斐あって、毎回多くの感想文が提出され、選ばれた感想文の発表を行うようになりました。読書感想文発表には、自分自身のことや職場や仕事への気付きが多く綴られています。このように読書感想文は、自分たちを見直す良い機会になっているのです。
私たちは得てして、他人から注意や指摘されることを嫌い、自らの姿勢を見直すことなく惰性で日々を送ることが多々あります。これでは人間的成長も鈍化し、幸せな人生を送ることができません。幸せな人生を送るには「気づき」があってこそと思っております。
このように、読書と感想文発表は、正に自分自身を見直す機会の場であり気づきの場となります。そして、その気づきを朝礼等で発表することで、職場のみんなにも共感をもって迎えられるようです。
そしてなによりも、推薦図書を選ぶために、私自身の毎月の読書量が増え、読書が好きになりました。また、提出された全員の読書感想文を読むことで、社員の人たちの気持ちが分かるようになり素晴らしい効果を生んでいます。
お陰様で、これまでは外部講師を招いての研修会をしていましたが、今では社員の人たちの読書と感想文発表こそが素晴らしい研修の場となっています。