なぜ、海外の人達は、「掃除をベースとした経営」に興味を持つのか。
今年7月に来社された中国の会社オーナーが言われたことが、とても印象に残っています。
「東海神栄を訪問するのは、今回で三度目です。一度目に聞いた時は、驚きの連続で、とても新鮮に感じました。そして二度目の訪問では、改めて掃除の素晴らしさに気が付き、トイレ掃除を始めようと決意しました。言われたように、トイレ掃除を始めたことで、職場の雰囲気が大きく変わり始めました。」
そして、「田中さんが言われるように、社員も掃除を始めるようになり、職場の雰囲気ががらりと変わりました。お蔭で品質や生産性がよくなり、増収増益の会社となり、その利益を社員に還元できることで、会社は大きく成長を始めました。今回は三回目ですが、田中さんの話を会社のリーダー達にも聞かせ、現場を見せたくて訪問いたしました。」と語ってくれました。
海外では、上の者が現場に降りて一緒に掃除をするということは、元々考えにないことであり、掃除は外部委託か地位の低い者が行うことが常識となっています。また、経営においても、上からの指示で管理をすることが常識となっているようです。その点から、東海神栄が行っている「掃除をベースにした全員参加の経営方式」は、思いつかないことのようでした。
しかしながら、海外の経営者も、社員の人たちが自主的に仕事に取り組み成果を出してくれることを願っていると思います。事実、2012年、Googleが社内にある数百のチームを対象に、生産性の高いチームを徹底調査した結果、共通する要因が見つかりました。
それは、職場の風通しがよく、自分の考えや気持ちを十分に言い合える雰囲気がある働きやすい職場であり、「心理的安全性が高い」ことでした。そのことがマスコミにとりあげられ、世界的に注目されるようになりました。
このことからも、日々の掃除を通じて社員間の人間関係がよくなり、互いに信頼関係が生まれる「掃除をベースにした経営」にこそ、「心理的安全性」が育まれることが分かります。だからこそ、田舎の小さな会社であっても、実際に目にされることで驚かれるようです。
「掃除が生み出す経営」の前提となるものは、「人間の思考、行動は、環境の影響を受けること。そして、環境を作るのも人間であること。特に上に立つ者ほど、下に与える影響は大きいこと。」です。
「上に立つ者が下座に降りて、共に現場をよくしていこうとする行動こそ、部下との信頼関係を生み、よくしていこうとする共通意識が芽生え」、そこに、「心理的安全性」が育まれた職場環境が生れるようです。
東海神栄では、長年「掃除をベースとした経営」を続けてきたことで、人間関係が向上し、信頼関係を高めることで全社員参加の経営計画づくりとなりました。そして、その経営計画に基づき、事業計画、個人課題を作成し、月々の経過報告、決算報告も公表してきました。お蔭で、自分たちの会社、自分たちの職場として、安心して働ける会社になってきたと思います。