今、世の中は大きく変わろうとしています。特に、働き方改革から見られるように、日本的経営から西洋的経営への変革期でもあります。
日本的経営の基本は、農耕民族的思考で、人の縁を大切に、お互いに助け合って仕事に励み、お客様の喜びをやりがいとして、人間的成長と仕事能力を高め合い、共に成長していくことだと思います。
一方、西洋的経営の基本は、狩猟民族的思考で、結果が総てであり、企業の目的は利益確保です。それ故、労使の利害は一致しないものとされ、働く側にとって労働は苦役であり、その代償として賃金があるため、極力、労働時間を短くして、より多くの所得を得ることが目的となります。
そして、より所得を上げるために、自己のスキルを上げ、より高度な仕事に挑戦して強者となりますが、常に競争や管理の中に置かれることとなります。つまり、強者を残していくことで、より強い会社を作り上げようとするのです。
今、日本では、このような西洋的発想のグローバル化に移行しようとしています。しかしながら、この大きな時代の流れにあっても、私はこれまで通り、人を中心とした日本的経営を貫くべきだと思っています。それは、毎月のように来社される海外視察団の人たちと接する中で、我が社には西洋的経営では得られない大切なものがある、と気が付いたからです。
それは、「人を大切にして、人を活かす経営」にあります。海外では、管理する人、される人と明確に区分されていて、性悪説の上で労務管理が行われています。そこでは人間的信頼関係が希薄となり、共に働く喜びが感じられない状態になっているのです。
私達の会社では、労使一体となって共通の価値観を持てるように努めています。その為に、半期に一度、全員が集まって経営計画の作成と見直しを行い、毎月、経過の確認会議を行って相互の理解と納得性を高めてきました。ノルマや管理で社員を追い詰めることはなく、社員の自主性を尊重した経営をしています。
そして、社員の自主性を尊重するためにも、よき社風づくりを労使共に大切にしています。特に、早朝掃除に力を入れ、職場を美しく保つと同時に、共に場を活かすと言う共通の価値観を育んできました。また、月に一度、会社周辺の清掃活動も行い、地域の人たちにも喜ばれることをしています。
掃除以外にも、資格取得や講演会や読書、ボランティア活動への推奨を行い、社員が、よき社会人、よき家庭人となってくれるよう願っています。
私の願いは、家庭で親が子の成長と幸せを願うと同じように、社員の成長と幸せが一番です。これからも一人一人が共に成長する場として会社を活用してもらいたく思っております。