ここ最近、昔では考えられなかった犯罪が増え、そのこと自体が不思議ではない社会になってきました。特に、児童虐待も社会問題化し、親が子を、子が親を殺す犯罪も目につくようになりました。中には、むしゃくしゃしたから無作為に人を殺したとの事件もありました。
一方、子どもの世界でも「いじめ」や「不登校」「引きこもり」「無気力化」が増えています。その原因は、人間関係が希薄となり、人間としての生き方を学ぶ教育(道徳教育)がないがしろにされ、自己中心の考え方が優先される世の中になったからではないでしょうか。特に、「幸せ=お金」で、お金さえ手に入れば幸せな人生だと錯覚した考えが蔓延してきたように思います。
そして教育と言えば、有名大学に入ること、技能を身に付けることに重点が置かれ、人間性を高める教育への取り組みが少なくなりました。そのことは、社会において学歴や技能評価に偏った雇用形態となり、利益の追求に都合のよい社員を優遇していくこととなりました。その為に、心と体のバランスが崩れ、「労働=苦役=対価は金銭」となり、勤労を通じて人間性を高めようとする考えも失われてきました。
このように、目先の利害が優先されることとなり、思考が片寄った人たちが増えてきました。そして、バランスを持った子育ても出来なくなっているように思います。
「ヒトは人により人間となる」との教えがありますが、人間として生き方は、幼児期からの生活の中で培われていきます。しかしながら現状は、人としての生き方教育の前に、うまく世渡りの出来る知識教育が優先され、欲求衝動が強くなってきているのではないでしょうか。
このことが、多くの問題を生むようになっています。
私は、早くからこれを危惧し、社員には「よき社会人、よき家庭人、よき企業人」としての人生を歩んでもらいたいとの思いから、人間教育に力を入れてきました。その為にはまず「挨拶、掃除、履物揃え」が、よき人間関係を作る基礎になると思います。
そして、生き方を学び合うと同時に、自主性を尊重した経営を推進するために、一泊合宿の「秀観塾」を始めました。その他にも、定期的に外部から講師を招いての講演会、研修会、ボランティア活動にも積極的に取り組んできました。
これからも、よき習慣づくりや人間教育を大切にしていきたいものです。