昨年9月、九州での「ヒトの教育の会」夏季研修会において、「掃除道に生きる」と題して話をさせていただきました。
その講演の後、私の話に共感された掃除の仲間が、興奮して駆け寄ってきて、講演を冊子にしましょう、と言われました。そしてすぐに出版プロジェクトがつくられ、文字おこしが始まりました。総て手作りとなり、2千冊を目標に案内をしたところ、すぐに4千冊の予約が入り驚きましたが、更に2千冊の予約が入り、結果、7千冊をつくることになりました。
お陰様で、50冊、100冊とまとめて買ってくださる方が多く、600冊も買ってくださった方もいました。何故こんなに沢山買っていただくのか不思議に思い尋ねたところ、この本は、自分一人ではなく社員にも知人にも読ませたい内容だからまとめ買いをしました、とのことでした。
そして、みなさんが言われることは、これまで掃除をするといいことは知っていたが、体験談として書かれているので、掃除の素晴らしさがより納得できた、という喜びの声でした。特に掃除は、場を美しくするだけでなく、人の成長を促し、会社も共によくなっていくことが分かり、掃除を勧めやすくなった、との意見も多くありました。
今の世の中は、グローバル化の中で、より一層競争社会となり、強者生き残り戦略が持てはやされる時代となってきましたが、実際は、大半の人が切り捨てられていく様相となっています。そのような時代背景の中で、中小企業の経営においては、むしろ一人一人を大切に、共に助け合いながら経営していく事が重要になってきていると思います。
掃除は、現状を受入れ、今ある条件を活かし切って行くことを教えています。その点からも、経営資源となる、人、物、金、時間、空間、情報を活かすには、最も適したものであり、掃除こそが、人も組織も根底から変えていく力を持っています。
ナカヤマ・グループの人たちは、長年一緒に掃除をしている仲間でもあります。ぜひこの本を読んで、今一度、掃除の素晴らしさを知ってもらいたいと願っております。
田中義人拝